目次に戻る
浄土真宗系のコンテンツで
【法華経には、『如来の室に入り、如来の衣を著け、如来の座に坐して、斯の経を説くべし。如来の室とは一切衆生の中の大慈悲心是れなり。如来の衣とは柔和忍辱の心是れなり。如来の座とは一切法空是れなり。是の中に安住して、法華経を説くべし。』と説いているけれども、凡夫が、一切空の悟りに立ち、大慈悲心と柔和忍辱心を以て説法することは極めて難しい。だから法華経は難行道だ。】
との趣旨を語っています。
これも経意を無視した誤理解です。

『法師品』の「衣座室の三軌」は、理想的な説法者の姿を説示しているのであって、「完全にこの三軌を護らなければ説法する資格は無い」と云う説示では無いです。

『法師品』には「是の善男子・善女人、我が滅度の後、能く窃かに一人の為にも法華経の乃至一句を説かん。当に知るべし、是の人は則ち如来の使なり。」
と仏滅後の下品の師の説法の功徳を讃えていますが、下品未熟の者は、「衣座室の三軌」を完全に実践出来なくとも、そうありたいと願いながら説法すれば良いのです。
ですから、「衣座室の三軌」の説示を理由にして「法華経は凡夫に適さない難行道だ」との主張は的外れです。

また『法師品』には
「如来の滅度の後に、若し人あって妙法華経の乃至一偈・一句を聞いて一念も随喜せん者には、我れ亦阿耨多羅三藐三菩提の記を与え授く。」と説き、また「妙法華経の乃至一偈を受持・読誦し解説・書写」する人は「未来世に於て必ず作仏することを得んと。」と説いて法華経の易行性を説示しています。

『法師品』にはすでに「一念随喜」の功徳力が言及されていますが、
『分別功徳品第十七』『随喜功徳品第十八』に於いて「一念信解・五十展転随喜の功徳」の説示があり、法華経の易行性が、なお一層強調されています。

日蓮聖人も
【天台大師と妙楽大師が末代の凡夫に法華経の信仰を勧める文として次のものがある。天台大師の法華文句には「好堅樹は地面のなかでその芽がすでに百囲もある。頻伽鳥は卵殻の中にいる時から鳴き声が他の鳥よりも勝れている」とある。この文は法華経の五十展転(法華経を聞いた者が随喜し、その功徳を他に伝え、五十人目にいたる)の第五十人目の功徳を解釈されたものである。仏はていねいに五十展転の教えで、法華経以前の方便の教えによる長い間の修行や方便の教えを受持する大聖人の功徳よりも、この法華経を少しでも聞き結縁した愚人の随喜の功徳のほうが百千万億も勝れていると説かれているので、この経典の心を天台大師は譬えで表わされたのである。好堅樹と言う木は一日に百囲も生長する。頻伽鳥という鳥は幼くても他の大小の鳥よりも勝れた声で鳴く。そこで、方便の教えによる修行が長い期間にわたることを諸の草木の生長が遅いことに譬え、法華経の修行によって速かに仏に成ることを好堅樹が一日に百囲も生長することに譬えたのである。また、方便の教えを受持する大小の聖人を諸の鳥に譬え、法華経を受持するはかない凡夫を卵殻の中の頻伽鳥の鳴き声が他の鳥より勝れていることに譬えたのである。
妙楽大師はかさねて解釈を示し、「誤って理解する者は、法華経の初心の修行者の功徳が多大であることを知らないで、功徳は上の位に多いと思いこみ、法華経の初心の修行者を侮るので、今、法華経の修行は浅くとも功徳は深いことを示し、それによって法華経の経力を顕わすのである」(法華文句記)と説かれている。この妙楽大師の文は、末代の愚者が、「法華経は深い教理を説き尊い教えではあるが、自分たちのような劣った者には適さない」と言って、法(法華経)を称讃し機根を劣愚と定め、機根に適さないとして法華経を捨てる者について説明されたものである。】(一代聖教大意口語訳・日蓮宗電子聖典)
と、「五十展転の功徳」は、法華経の易行性を説示している経説であると述べています。
「法華経は難行道であるから我々には不適な経典である」との真宗系の主張は大きな間違いです。

さらに真宗系コンテンツでは
【「宝塔品」の六難九易も法華経受持が極めて難行である事を語っている】と批判しています。
しかし、「六難九易」は、経の浅深勝劣に関して難易を分別しているのであて、 六難とは法華経の勝能を示し、九易は諸経が浅劣であることを顕しているだけです。難行易行を分別している経説ではないのです。
伝教大師の『法華秀句』にも「経の勝能を挙げ能持を募り求む」(伝全巻三・273頁)と釈しているように、経体が勝れている法華経は持ち難く、経体が劣っている諸経は持ち易いと云うことなのです。先師も「譬へば宝珠は持ち難く瓦石は持ち易いようなものである」と説明しています。。
「六難九易」の経説が修行の難易を語るものでないので、伝教大師も六難九易を釈した後「浅は易く深は難しとは釈迦の所判なり。浅を去って深に就くは丈夫の心なり」(伝全巻三・273頁)と、法華経に就いて修行すべきと述べているのです。

目次に戻る